ヒサマツHD「セパレートボデー」
荷役時間削減し、運行回数増やせる
中継地でボデー交換し、リレー形式で輸送可能



㈱ヒサマツホールディングス(久松孝治CEO、大阪市)は11月1日、トランスポートアトミック西日本支店にて、「セパレートボデービジネス」の発表会を行った。会場では大型トラック2台によるセパレートボデー脱着の実演が行われた。
一般的なトラックは車体と荷台が固定された一体構造となっているが、これに対して、セパレートボデーのトラックは車体と荷台(以下「ボデー」)が分離する構造だ。
切り離したボデーは専用の支持脚(アウトリガー)を取り付けて自立させるため、荷物を積み込んだボデーだけ置いておくことが可能になる。ボデーを分離した車体は、別のボデーを装着して輸送できる。
このようにセパレートボデーのトラックは、コンテナトレーラーと同様の運用が可能だが、けん引免許やボデー部分の車検は必要ない。

久松CEOはセパレートボデーについて、「運送業界の働き方改革の中で一番の問題は、2024年から始まる時間外労働の上限規制(年960時間)。ドライバーの拘束時間を月平均274時間程度に納めなければならず、これまでと同じような配送サービスは難しくなる。対策の一つとして、昨年の9月からセパレートボデーの開発に取り掛かった」と話す。
トラックドライバーは荷物の輸送業務だけでなく、積込み・取卸しの荷役業務も行うが、運行回数が増えれば荷役業務も繰り返されるため、荷役の順番待ちなど、手待ち時間もかさみ結果として、長時間労働になってしまう。
セパレートボデーを活用すれば、荷役業務をドライバーから分離できるようになる。
久松CEOは、「従来の地場運行では、大型トラック1便あたり荷役業務に1~2時間を費やしている。セパレートボデーのトラックなら20~30分ボデーの脱着を行うだけで済む。ドライバーの拘束時間は50パーセント以上削減され、荷役業務の時間が減る分、一日あたりの運行回数を増やすこともできるため、トラックの稼働率アップにもつながる」と話す。
セパレートボデーのトラック同士が中継地点で互いのボデーを交換、ドッキングすれば、荷物をリレー形式で輸送できる。
現在、セパレートボデーを4台所有しているベストライン㈱の辰巳・・社長は、「これまで往復3日かかっていた長距離運行が、セパレートボデーを活用すれば中継地点までの運行で済む。ドライバーは日帰り運行が可能になる」と説明した。
セパレートボデーの積載量は12・6トン。ボデー内高は2600~2650ミリ。セパレートボデーの製造は、ヒサマツホールディングスのトラック車体製造部門㈲栄進ボディ工業が手がける。
現在、月2~4台の生産台数だが、1年以内に月15~20台の生産体制を整えたいという。2030年までに、国内のトラック27万台の約1割にあたる、2万台の普及を目指す。平ボディの製造も可能で、冷凍車の開発も視野に入れている。
※トラック情報社 物流新時代 提供※