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中継基地シェアサービス「ドラ基地」

2022.10.04/カテゴリ:

運送会社の駐車スペースを有効活用

「2024年問題」解決ツール


 国土交通省は、トラックによる中継輸送実現のポイントや新たな取組事例を取りまとめたリーフレットを発表した。

 調査では、半数以上の事業者が中継輸送の実施に前向きな一方で、実施している事業者は16%の状況であるためだ。

 ㈱スペース(村井美映社長、愛知県蒲郡市)は4月1日に運送会社所有地の空きスペースを、中継輸送の基地として活用するサービス「ドラ基地」を開始した。運送会社同士が駐車場、荷下ろし場、フォークリフトなどをシェアすることで「中継輸送」が行えるようにする。


「中継輸送」に置き換える動きが活発化

 2024年4月以降、ドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される。ドライバーの1日あたりの運転時間が従来よりも短くなるため、 トラックの走行可能距離は往復250~300㎞程度になると言われている。

 長距離運行では、今後、複数のドライバーで荷物や車両をリレーする「中継輸送」に置き換える動きが活発化するとみられている。

 

 しかし、運送会社の多くは全国に拠点をもたない中小零細企業であり、中継輸送の拠点確保に十分な資金を投じることはできない状況だ。

 

 村井社長は、地元の運送会社に勤務していた頃、こうした状況を目の当たりにし、 もっと手軽に中継拠点を整備する方法がないかを考え、運送会社同士が敷地をシェアする「ドラ基地」を開発した。

 

 例えば、「ドラ基地」に自社の空きスペースを登録すれば、中継基地を必要としている運送会社が、そのスペースを必要な時だけ借りてくれる。逆に、他社の空きスペースを利用することもできるため、全国に拠点がない運送業者でも、ホテル予約サイトで空き部屋を探す感覚で、手軽に中継拠点を確保できる。

 

 「ドラ基地」の中継基地は、現在、愛知県に8カ所、福岡県に1カ所あり、岐阜県、三重県にも近々拠点ができる予定だ。

 

フォーク入賞者が荷物乗せ変えるオプション

 

 中継基地での荷物の積み替えは、原則、ドライバーが行うが、フォークリフトの運転コンテスト入賞者を「ドラ基地マイスター(仮)」として拠点に配置し、荷物を乗せ変えるオプションプランも用意されている。

 

 万が一、作業中に事故や荷物の損壊が発生した場合、運送賠償保険で対応することになるが、郵便配達や弁当配送業者など、第三者との事故についても、「ドラ基地」が別途加入する包括保険でカバーできる。

 

 中継基地で取り扱う荷物は基本的に梱包された状態を想定しており、パレットやラップなど、荷役・梱包資材の貸し出しは行っていないが、協力会社と協議しながらレンタル化も進める予定だ。

 

 「ドラ基地」に登録されている空きスペースは、1区画(トラック2台が荷物を積み下ろし可能な広さ)を2時間2000円からレンタル可能。フォークリフトも4時間まで2000円で借りることができる。

 

 また、荷物の乗せ替え以外に、 トレーラーヘッドや車両の交換、 ドライバーの仮眠や休憩などの用途でも利用可能。スペースのレンタル時間は「トラックの到着から出発まで」となり、作業の順番待ちなどの待機時間も料金に含まれる。待機時間が発生しないようにするための仕組みも今後、検証を重ねながら作り上げていく。

 

「中継すると運賃が半減する」

 

 村井社長によると、「ドラ基地」の実証実験に参加した運送・倉庫会社からは「中継輸送に取り組まなければいけないが、中継すると運賃が半減する」「中継地から先の目的地まで、誰が輸送の手配をするのか」といった声があげられたという。

 

 「ドラ基地」では、対策として帰り荷の情報を協力会社と共有できる仕組みを検討しており、中継地点での荷物の受け渡しに問題は生じないという。

 

 また、実証実験では、集荷の多くが「夕積み」だったため、荷物の中継は21時から深夜2時頃に集中すると予想されている。

 

 村井社長は、「夜間にドラ基地の予約が集中すると見込まれるため、予約をすべて巻き取れるだけの拠点の確保に努めている。また、伝票の受け渡しやフォークリストのカギの貸与などが、無人でも可能となるサービスも提供していきたい」と話す。

 

 「ドラ基地」は、こうした中継基地利用サービスの国内シェア16%を目指しており、全国へ向けて拠点を拡大している。

 

 

 

 

 

※トラック情報社 物流新時代 提供※