社宅290戸を提供
荷物の仕分けなどの仕事も提供
ロシアは2月24日、ウクライナに対し軍事侵攻に踏み切り、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いている。多くの一般市民が犠牲となり、また、ウクライナから多くの避難民が国外に逃れている。そんな中、国内でもウクライナ支援に動き出す企業が出てきているが、国内物流企業でいち早く支援に乗り出したのが、セイノーホールディングスである。
避難民の住宅と仕事を提供
セイノーホールディングスは3月4日、ロシアによる侵攻で国外に避難しているウクライナ人の受け入れを表明した。日本政府が入国を認めた避難民を対象に、住宅と仕事を提供する。同日の取締役会で決めた。
住居は社宅の活用を想定しており、グループの西濃運輸が持つ社宅のうち、全国20カ所以上の社宅の空いている290戸程度を活用する。
同社ブランド戦略部広報戦略課の国枝 美佳子氏は本紙の取材に対し、「受け入れの詳細については外務省、出入国管理庁、国連やNGOなどの関係機関と調整中だが、可能な限り多くの避難民を受け入れたい」と述べた。
今回の避難民受け入れは、海外にある同社の現地法人からの支援要請に応えたものなのかを尋ねたところ、「人道支援のため受け入れを決めた。ウクライナと何らかの利害関係があってのことではなく、すべての人に笑顔と幸せを届けるというセイノーホールディングスの理念に基づく取り組み」とのことだった。
西濃運輸名古屋東支店(愛知県日進市)でも、社宅の空き部屋を提供する予定であるが、社宅は、20畳のワンルームと3LDK(20畳のダイニングキッチンと8畳の部屋が3つ)の2種類。ワンルームは単身もしくは2人用、3LDKは4人家族用だ。西濃運輸には、こうした社宅が全国に約290室あり、避難民の方に事情を聞きながら、各地で受け入れを進めていくという。
荷物の仕分け業務などの仕事も紹介
また、同社では、避難民の方から希望があれば、物流倉庫での荷物の仕分け業務などの仕事も紹介する方針だ。荷物の仕分け作業については、荷物の届け先は伝票に書かれたアルファベットや数字で区別しており、基本的に荷物番号と配送先番号を照合する作業になるため、日本語が読み書きできないウクライナ人でも可能な仕事であるという。
また、同社には日本語が話せない外国籍の従業員もおり、すぐに働ける状況だという。
セイノーは政府と協議しながら、隣国のポーランドなどに避難しているウクライナ人の日本への渡航方法などを検討していく。
ウクライナ避難民の受け入れに関しては、不動産賃貸のアパマンショップをFC展開しているアパマンネットワーク㈱(東京都)が約300部屋を無償で提供することを表明しているほか、ディスカウント店ドン・キホーテの親会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都)も、約100世帯を受け入れ、経済的支援、生活面のサポート、就業機会の提供などを行うと発表している。
在日ウクライナ大使館はTwitterアカウントで、同国への寄付金を受け付ける銀行口座を公表している。
銀行名:三菱UFJ銀行
支店名:広尾支店
支店番号:047
口座種類:普通
口座番号:0972597
口座名:エンバシーオブウクライナ
この口座への振り込みは、個人情報の登録が不要。3月7日時点で、約15万人から40億円近くの寄付が集まっている。
また、寄付金は、避難者の生活支援、インフラ復旧、住宅再建などに使われる。