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「びっくり事故」接触なくてもひき逃げに

2023.07.11/カテゴリ:

TM安全企画の丸山氏が講演

船井総研ロジセミナー

管理者が活かすべき5つのポイントとは

 

丸山社長


3月20日、船井総研ロジは、「経営者が知るべき事故ゼロの法則・管理者の危機管理能力向上セミナー」をWEB開催した。第2部では、安全コンサルティング会社・TM安全企画の丸山利明社長が「管理者の危機管理能力向上」について講演した。講演内容は次の通り。


事故の少ない会社は『点呼をきちんとしている』『定期的に安全大会をしている』といった安全風土が出来上がっている。今回、管理者が日頃の安全教育に活かすべき重要な5つのポイントについてお話したい。

 

一つ目 居眠り運転をどう防ぐか

 

ある運送会社では3年間で6件も、居眠り運転による追突事故が発生し、保険会社から年間の保険料が700万円上がると告げられた。そこで、安全大会を開き、社長、管理職、ドライバーが再発防止策について検討を行い、次のルールを定めた。

・眠くなったらコンビニなどで5分間寝る・ドライバーが5分寝て延着するなら、その旨を配車担当者が荷主に連絡する・業務終了後、ドライバーに10分間教育を実施する。

NASAの睡眠疲労研究グループの研究でも、うたた寝には驚異的な回復力があることが認められている。短時間のうたた寝を上手に取り入れるだけで、かなり身体は楽になる。

この運送会社では、ドライバーにうたた寝させることを荷主に話したところ、荷主も『わずかのうたた寝で事故が防げるなら、ぜひ行って下さい』と歓迎してくれたそうだ。

 

二つ目 路上トラブルは即110番通報する

 

2年前、神奈川県の京浜急行電鉄の踏切で、電車とトラックの衝突事故が起きた。

トラックドライバーが亡くなった痛ましい事故だが、目撃者や関係者によると、トラックは線路脇の細い側道から踏切に右折で進入しようとしていた。その際、曲がりきれずに立ち往生し、何度も切り返しをしていたが、遮断機が下りて、電車と衝突してしまった。

この事故のように、狭い道から出られなくなると、トラックの前後に渋滞が発生し、立往生してしまう。この場合、ドライバーは無理に自力で解決を図るのではなく、すぐに110番して警察を呼び、助けてもらうのが一番だ。

ドライバーが自己判断できず、会社に助けを求めてきたときも、管理者は即110番通報するように指示する。

通報すれば、必ず何人かの警察官が駆け付けて来て、現場の交通整理を行い、トラックを安全に誘導してくれる。駆けつけてきた警察官からは怒られるだろうが、無理して事故を起こすよりはずっとマシだ。

積み荷を道路に散乱させてしまった場合も同様に、警察に交通整理してもらいながら道路掃除をするのがベストだ。無理して自分で処理しようとするのは、かえって危険だということをドライバーに理解させたい。

 

三つ目 びっくり事故でそのまま走り去れば、ひき逃げで逮捕される

 

あるトラックが原付の横を通り過ぎたところ、原付が左に寄り過ぎて縁石にぶつかって転倒した。トラックドライバーは、原付の転倒を左サイドミラーで確認していたが、非接触事故だったため、そのまま走り去った。

しかし、後ろを走っていた乗用車のドラレコが一部始終を捉えており、乗用車のドライバーが警察に通報。トラックドライバーは救護義務違反(ひき逃げ)で緊急逮捕された。

一方、ある大型トラックドライバーは、交差点を左折しようとした際、横断歩道上を走っている自転車に気づき、急ブレーキをかけた。自転車に乗っていたお年寄りは驚いて、そのまま前方の歩道にあった花壇に激突して転倒した。

ドライバーはトラックを止め、お年寄りを助け起こした。お年寄りはケガをしていたため、救急車を呼んだ。

救急車と共に現場に来た警察は、この事故をいったん人身事故として処理したが、ドライバーの対応が良かったため、後日、人身事故は取り下げられた。

こうした子供やお年寄りの『びっくり事故』はよくある。とくに子供は驚いて現場から逃げてしまう傾向がある。子供がその場から立ち去ってしまった場合でも、必ず110番通報し、非接触事故(びっくり事故)が起きたことを警察に報告しておくこと。こうした対応が後々のトラブル回避につながる。

 

四つ目 左折時の巻き込み事故、左折時の手順を再確認する

 

自転車とトラックが同じスピード(時速7~10km)で並走すると、自転車がミラーの死角に入ってしまう。

左折巻き込み事故は、即死亡事故になるケースが多い。重大事故を防ぐために、業務終了後の10分間教育で、今一度、左折時の3つのポイントを確認したい。

①あらかじめ左側端に寄る

②必ず目視で確認する

③交差点内は徐行する

 

五つ目 車線変更時の事故の過失割合は8:2が基本

 

例えば、高速道路で車線を変更して追突された場合だが、過失相殺率8対2から(示談が)始まる。仮に追突してきた車が時速150㎞で走っていたとしても、追突した車の過失割合は1~2割加算されるだけで、最終的に6対4程度の過失相殺率にしかならない。

基本的に追越車線を走行する車のスピードは、走行車線を走行する車よりも速いので、進路変更する車はそれだけ注意を要する責任がある。したがって、事故を起こした場合、過失相殺率は車線変更した車の方が重くなるということを、ドライバーに理解してもらう必要がある。

車の運転には、無条件に『安全』と言えるものはない。危険は常に存在しており、危険に対して何をするかが『安全』だとも言える。

管理者が事故を起こしそうな人を事前に見つけ、事故を起こさないように教育する。ドラレコなどを活用して事故を未然に防ぐなど、これからの運送会社は『事故の無いドライバーを育てることができる管理者を育てる』必要がある。命を大事にする会社に、ドライバーは仕事で応えてくれる。

 

 

 

 

※トラック情報社 物流新時代 提供※